〔エッセイ〕令和4年度「長野県交通統計」から県内の自転車事故の傾向と事故防止を考える。

「令和6年 能登半島地震」で被災された全ての皆様に心よりお見舞いを申し上げます。度重なる報道を見ていると本当に圧し潰されるような感情が去来します。特に一昨年お世話になった能登島コミュニティセンターが避難所になっているとのこと…。いまこの時点で出来ることは多くありませんが、当サイトも皆様の御心に寄り添い、皆様と共にありたいと思っております。どなた様も引き続き余震が続いておりますので、先ずはくれぐれも安全にお過ごしください。〔1月5日〕 

〔エッセイ〕令和4年度「長野県交通統計」から県内の自転車事故の傾向と事故防止を考える。

 

 

 こんばんは、皆さんクリスマスイブの夜です。

今日は信州クロス「清里ラウンド」も無事に終わったと思います。

自分も今日は、「長野県美鈴湖自転車学校」のレポートなどを

各所に提出してこれで、自転車関連の実務面はほぼ終了。

 

 

さぁ、クリスマスの夜といえば!

「サイクリング長野」クリスマスの約束。

昨年度の県警発表「令和4年度交通事故」を開設しながら

長野県内の自転車事故の傾向を分析して行くという

誰得?という企画です。

 

 

今年もおなじみのクレーム…

 

 

「年末に前年のコレをやる意味あるんか?」とか

「やるのが遅い!」とか…

そもそも「大本営発表で意味が無い」とか… 

長野県自転車界の「有識者の皆様」から有難い

クレーム ご指導を頂くこのコーナーですが…

 

 

恒例の一言いいですかね?? 

 

 

だまらっしゃい!!!!

 

 

だから、長野県に200万人の人口がいて

これを出来る能力がある人間なんて幾らでもおるし

何なら警察の人間なんてプロなんだから

誰でも語れるでしょうよ。

 

ところが、世界に何十億人いても

これをちゃんと分析してカタチとして残せる人材は

結局は自分しかおらん訳ですよ。

 

 

もうさ、来年はぜひお暇な自転車有識者が

これをやってほしい… クリスマスイブだよ今夜!

なんで俺がこんなシリアスなネタをやってんのよ??

 

 

そんな愚痴を言いながら!

 

 

何時も言ってるけど、これは学校のテストじゃない。

何人がケガしたとか正確な数字なんぞどーでもいい。

それよりも、漠然とでもいいので

長野県ではこういう事故の傾向があるんだということを

ぼんやりでも知っておいて欲しい。

そして、自転車に乗るすべての人に考えてほしいと思います。

では、今年も昨年度の長野県内自転車事故傾向を改札して行きます。

 

〔参考資料〕
令和4年度 長野県交通統計(自転車)(PDF:長野県警察)
※自転車事故は65ページから

 

 

 

令和四年度 長野県内自転車事故傾向

 

 

 

令和四年度(2022-23)の長野県警発表の「交通統計」によると

昨年の長野県の自転車事故の概要は…

 

 

 

自転車事故が532件(前年比94件減少)

・自転車事故による死亡者は8名(前年比3名増加

・自転車事故による負傷者は518人前年比100名減少

 

 

 

前年に比べて

事故件数は大幅に減少したものの

自転車事故死亡者が3名増加。

ただし、負傷者に関しては

100名減少ということになりました

 

〔過去四年年間の記録〕

 

 

 

令和四年の自転車事故の特徴

 

 

 

・月別の発生件数は7月が最多

・時間帯別では、8~9時台」及び「16~17時台」が多い。

・事故類型別では、出会い頭が死傷者事故の5割を占める。

・原因別では、死傷者の7割以上が誤った通行

 

《月別事故発生データ》

 

《時間帯別事故発生データ》

(共にクリックすると大きくなります)

 

 

 

【令和四年度当サイトの交通安全記事】

 

 

世代別事故負傷者・死亡者数

 

 昨年度の世代別の事故「負傷者」・「死亡者」数は

以下の通りとなっています。

 

年齢区分 負傷者(前年比) 死亡者(前年比)
6歳未満  0名(-1) 0名(±0)
6~8歳 5名(+1) 0名(±0)
9~12歳 23名(+1) 0名(̠±0)
13~15歳  54名(-13) 0名(±0)
16~19歳 138名(-50) 1名(+1)
20~24歳  47名(+6) 0名(±0)
25~29歳  26名(-7) 0名(±0)
30~39歳 41名(-9) 0名(-1)
40~49歳  43名(-2) 0名(±0)
50~59歳 52名(±0) 1名(+1)
60~64歳 17名(-6) 0名(±0)
65歳以上 72名(-21) 6名(+2)
合計 518名(-100名) 8名(+3名)

 

 

 

前年比で事故件数は減ったものの

気になることは…

中・高・大学生世代の

自転車を通学通勤に使う世代の

自転車事故が割合として非常に多く

死亡事故に関しては引き続き

高齢者の割合が非常に高い

 

ただし、中高生で事故が大きく減ったのは

最近は中学・高校で

スタントマンなどを使った

自転車安全講習会なども数多く開催され、

通学路「見守り隊」など

地域の協力も大きいものと考えられる。

 

 

 

 

2022年の都道府県別・中高生の事故ランキング

毎年、安全利用促進委員会が発表する。中高生の都道府県別事故ランキングが今年も発表され、人口1万人当たりの事故件数ランキングは…

 ・長野県中学生 32位(前年25位▲)
 ・長野県高校生 17位(前年12位▲)

以上となった。長野県の事故件数順位は中高生共に前年の全国ランキングに比べると順位を下げたことは多くの方の安全に対する地道な啓蒙の影響と考える。

 

〔2022年都道府県別自転車事故ランキング〕

 

 

 

事故の種類と事故発生地点の傾向

 

 ここでは、昨年の長野県内では…

「どんなタイプの事故が多かったのか?

どんな場所での事故が多かったのか?」

についての傾向を見て行きます。

※年代別などの詳細は必ず今回の統計原本を確認のこと

 

 

事故種類別(死者数・負傷者数)

順位 事故種類 負傷件数(死亡者) 前年比(死亡者)
1位 出会い頭 282名(2名) -66件(+2名)
2位 右折時 89名(2名) ±0名(+2名)
3位 左折時 86名 -13名
4位 追越・追抜き 19名 -7名
5位 正面衝突 8名 -4名
6位 追突 9名(1名) ±0名(-1名)
7位 すれ違い時 6名 ‐4名
8位 自転車単独 2名(3名) ±0名(+1名)
そのほか 17件 +5件(-1名)

 昨年の傾向として、事故原因の2位「右折時」と、3位「左折時」の順番が入れ替わったが、それ以外の順位は変わらなかった。

 

発生原因別(死者数・負傷者数)

順位 原因 件数
1位 安全不確認 116人
2位 動静不注視
前方不注視
112人
3位 交差点安全進行違反 74人
4位 その他 48人
5位 一時不停止 19人
通行方法違反
徐行違反
13人
7位 右側通行 10人
8位 飲酒運転 3人
9位 信号無視 1人
正しい通行中の事故 125人

 

発生時の道路形状(死者数・負傷者数)

順位 原因 件数
1位 交差点 350人
2位 単路(そのほか) 149人
3位 交差点付近 7人
4位

単路(トンネル) 1人
単路(橋) 1人
その他 10人

 

 

以上のように、事故の傾向に関しては

昨年の傾向とほとんど変わらず

非常に顕著な傾向が見える。

 

 

特に明日から注意したいことは

 

 

「交差点」と「その付近」で

「出合い頭」と「右左折」時を特に注意!

 

これを本当に注意するだけで

事故は7割から8割近くは減らせるということ。

 

交差点付近を通過する際には

しっかりと周囲の状況を見て

安全運転に心がけること。

 

ただし、正しい走行をしていたとしても

125名の方が負傷をしているということで

改めて

 

 

・ヘルメットの着用

・ライトの点灯

・反射灯や反射板の設置

・夜間は明るい服装やリフレクターのついた服装を心がける。

 

 

こうした自信を守る最低限の意識と準備も大切になってくる。

 

 

 

気になった高齢者の飲酒運転

 昨年度のデータを見て気になったことがあります。今年の年代別・原因別(死者数・負傷者数)のデータの一番右の数字。昨年度は県内で8名の自転車交通事故死があって、そのうちの3名が「飲酒運転」に起因しているものと思われること。それも全員が65歳以上という高齢者であること… 

現在の長野県は、一昨年来「高齢者の頭部への死亡事故」が自転車死亡事故に関する非常に深刻な要因と考え、上田市などはいち早く高齢者ヘルメット補助金制度を打ち出しました。しかし、今年の事故を見ているとそれ以前に高齢者に対して啓蒙すべきことがあるようです。

一昔前は、確かに飲酒をして自転車に乗る人というのは年齢を問わず多くいました。子供のころウチの自治会でもお祭りが終わり皆で一杯やって皆が自転車でフラフラ帰ってる…なんて光景は子供ながらに良く覚えています。その当時は、大人も子供の自分もその風景に違和感は無かったのですが、今は明確に自転車の飲酒運転は違反であることが多くの世代に共有されていると思います。しかし、今年の傾向をみれば、その時代の高齢者に今一つ啓蒙が行き届いていないのかも知れません。来年以降、ここはひとつ課題になることと思います…

 

クリックすると大きくなります。

 

 

 

 

 

 

長野県の自転車競技者の皆さんへ

 

 

この統計は昨年度のモノですが…

 

 

今年一年を振り返ると

老若男女、プロ・アマ問わず

競技者ライセンスを持っている皆さんも

練習中・レース中の重大事故が非常に

多い年でした。 

 

 

また、重大な交通事故も多く

長野県では10月12月の3回

交通死亡事故多発警報を発令しました。

 

 

個人的にも、9月は本当に最悪で

「ツールド北海道」での死亡事故のほか、

自分も県内で3回も自転車に関する

救急搬送に立ち会った話をしました。

本当に悪夢の9月だったと思います。

 

 

 

 

選手の皆さんには再三のお願いとなりますが

是非、選手の皆さんが年齢を問わず

UCIの提唱する「サイクリングフォーオールの精神」を

持って、自転車交通安全の模範となって下さいますよう

お願い申し上げます。

 

 

自転車乗りの地位向上は、皆さん一人ひとり

あり方が大きく全体に関わってきます。

 

 

 

 

 サイクリング・フォー・オールの精神を

 UCIでは選手に対し「サイクリング・フォー・オール」の精神を説いています。ライセンスを持つ全て選手はこの理念を徹底しスポーツ自転車に乗る全ての者の模範であって欲しいと思います。

 ・競技者は常に関連する道路交通法規を遵守しなければならない。
 ・競技者は適切なスポーツ精神を実践しなければならない。
 ・競技者は環境を尊重する態度でふるまわなければならない。

JCF規則集 第16章 サイクリング・フォー・オールより

 

 

 自転車競技者の練習時のヘルメット着用は義務。

 トラックレース、マウンテンバイク、シクロクロス、トライアル、BMX、BMXフリースタイル
 さらにサイクリング・フォア・オールの競技および練習においては
 連盟公認のヘルメットの着用を義務付ける。〔第3項〕

 ロードレースにおいても、競技・練習において
 連盟公認のヘルメットの薬用を義務付ける。〔第4項〕

JCF競技規則集 第3章「競技者の装備」第8条

 

 

〔JCFスポーツバイク基礎スキル/ライフスタイル編〕

〔参照元:youtube/JCF〕

 

 

 

 

まとめ

 

以上のようなデータから

改めて、長野県の事故傾向と

注意点をまとめます。

 

 

・長野県の自転車事故件数・死亡者数は前年に比べて大きく減少した

・事故の多くが「交差点内」または「交差点付近」で発生している。

・事故発生は、朝晩の通勤時間が特に多い

出会い頭の事故が最も多く、続いて「右折時」「左折時」が多い。

死傷者の約7割近くが誤った通行をしている。

前方や動静の不注意、安全の不確認が大きな要因

・ルールを守っていたとしても事故に遭うことがある

・ヘルメットや反射板など自分の身を守る為にすべきことを行う

・選手ライセンスを持つ者は、自転車に乗る人の模範であって欲しい。

 

 

 

 

と云うわけで、昨年度の県警発表

長野県内の交通事故統計でした。

 

 

我ながらちょっと「雑」なんですが

ちょっと、シーズン中が

忙しくて毎年これをやるのが

遅くなってしまい本当に申し訳ありません。

 

今年は再三ですが、自転車競技でも

日常の交通も含めて

事故の多かった… 

特に深刻な怪我をする事象が

多かったと思います。

 

今思うことは

とにかく、事故無く怪我無く

楽しい年末年始をお過ごしください。

 

くれぐれも事故にあわないように…

 

関連LINK

令和四年度「交通統計」(長野県警察)

自転車の安全利用推進委員会

長野県自転車競技連盟

長野県警察

長野県交通安全協会



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