〔エッセイ〕平成29年度「県交通統計」から県内の自転車事故の傾向と事故防止を考える。

「令和6年 能登半島地震」で被災された全ての皆様に心よりお見舞いを申し上げます。度重なる報道を見ていると本当に圧し潰されるような感情が去来します。特に一昨年お世話になった能登島コミュニティセンターが避難所になっているとのこと…。いまこの時点で出来ることは多くありませんが、当サイトも皆様の御心に寄り添い、皆様と共にありたいと思っております。どなた様も引き続き余震が続いておりますので、先ずはくれぐれも安全にお過ごしください。〔1月5日〕 

長野県の自転車事故を考える

 

 こんにちは、サイクリング長野です。さて信州シクロクロスシリーズも終了して多くの選手の方がオフシーズンに入られていると思います。SNS等を見ていると冬季の練習に励んでいる選手も沢山見受けられますが、そんなオフシーズンこそ改めて競技・非競技を問わず自転車に乗る全ての皆さんに「野県の自転車交通事故の現状」と「自転車の安全利用五原則」を見直し安全なサイクルライフと、ビギナーの方への安全運転の啓蒙をしてもらいたいと思います。

 

 

昨年度長野県内の自転車事故状況

 

 平成29年度の長野県警の発表した「交通統計」によると

 昨年度の県内では…

 

自転車事故が928件(全交通事故の11.7%)
死者は8名(交通事故死亡者の10.1%)
負傷者は912人(全交通事故負傷者の9.4%)

 

 これだけの数の自転車交通事故が起きました。

 そして県内の事故の特徴として…

 

 ◇県内の自転車交通事故の傾向

 ・12月に事故が多発しやすい

 ・朝の「8時~9時台」と「16時~17時台」と通勤通学時に多発している。

 ・出会い頭の正面衝突が死亡事故の約6割(59.1%)を占めている。

 ・死亡事故の65.4%が間違った通行をしていた。

 

 

 ことなどが挙げられます。

 さらに興味深いのは年代別に重篤な事故(負傷・死亡事故)を分析すると

 

 

 ◇世代別自転車事故負傷者・死亡者

 ・子供(未就学児~中学生) 102名 

 ・高校生            285名

 ・その他10代        43名

 ・20代            102名

  ・30代           65名

 ・40代           79名

 ・50代           79名(死亡者1名)

 ・60~64歳         30名(死亡者3名)

 ・高齢者          127名(死亡者4名)

 

 となります。この数字をみると

 最も交通事故で負傷する年代は高校生で

 20歳から30歳台で一度減りますが

 運動能力が低下し始めるであろう40歳台からは

 また事故負傷者が増え始め、50歳を過ぎると

 死亡者も見受けられるようになります。

 

 実は、県内の事故件数と死亡事故者数は

 ここ数年減少傾向にあります

 ただ、この数字が多いか?少ないか?は皆さんの

 判断に委ねるものとして、今後も減少傾向が続いて行くことを

 願って止みません。

 

 もう一つ、興味深いデータを記載します。

 

 では、長野県内の自転車事故は

 どのような場所で起こっているのでしょうか?

 それが…

 

 ◇県内自転車事故発生場所データ

 ・交差点   負傷者629名(死亡者2名)

 ・交差点付近 負傷者28名

 ・トンネル  負傷者2名

 ・橋     負傷者1名

 ・単路その他 負傷者234名(死亡者6名)

 ・踏切    負傷者1名

 ・その他   負傷者17名

 

 

 となっています。

 

 ここで全ての方に注視して欲しいのは

 自転車乗りの多くの方がお気づきのとおり

 普段のママチャリであろうと、スポーツバイクであろうと

 

 自転車事故で一番気を付けるべき路上カ所は

 交差点と交差点付近のエリア   

 

 であるということ。

 負傷者が何人・死亡者が何人と云う実数ではなく

 事故がおこるエリアのパーセンテージを重視して

 改めて交差点付近を走行の際は細心の注意を持って

 通過したいものです。

 

 資料:交通統計自転車について(長野県警)

 

 

自転車の安全利用五原則を見直す

 

 

 

 

 さて、遅ればせながら

 ここからが今日の本題です。

 日常生活で起こる自転車事故に限らず

 我々が行うスポーツバイクでも同じで

 日本国内の道路を安全に走る為には

 警察庁・都道府県警察と自転車の安全推進委員会が推奨する

 

 自転車安全五原則

 

 と云うものが存在します。

 ご存知の方も多いとは思いますが

 今日はそれを改めて見直したいと思います。

 

 

1.自転車は車道が原則、歩道は例外のみ通行可。

 ご存知のとおり自転車は「車両」として分類されます。

 従って、原則としては車道を走行することになります。

 ただし!

 以下の場合は歩道を通行出来るものとされています。

 

 ・歩道に「普通自転車歩道通行可」(右上図)の標識がある場合。

 ・13歳以下の子供、70歳以上の高齢者、身体の不自由な方が自転車を運転している場合。

 ・車が連続して駐車している場合や道路工事等で左側通行が難しい場合。

 ・著しく自動車の通行量が多い時などの場合。

 

 

2.車道は左側を通行する

 説明は不要かと思いますが…

 最近本当によく右側通行をしている人を見かけます。

 車を運転していても本当に「ドキッ!」とします。

 思い出して下さい、県内の死亡事故の最も多いケースは

 出会い頭の正面衝突によるものだと…

 

 

3.歩道は歩行者優先で、車道よりを徐行

 歩道では歩行者優先であると同時に

 自転車は車道寄りを徐行しなければなりません

 また、歩行者の通行を妨げる場合に自転車は

 必ず一時停止しなければなりません。

 法律うんぬんよりも、自転車側が歩行者に寄りそう。

 そんな心配りを共に持ちたいものです。

 

 

4.安全ルールを守る

 これも当たり前ですが改めて自転車の

 基本的な禁止事項をおさらいします。

 

 ・夜間のライト点灯    ・飲酒運転禁止

 ・二人乗りの禁止※    ・並走禁止

 ・携帯電話などの使用禁止

 ・安全確認(一時停止など)・信号厳守 

 

 自転車の2人乗りについては

 6歳未満の幼児を幼児専用座席に

 乗せることが出来ます。

 また、並走可能の標識がある場合は

 自転車の並走が認められます。

 

 ここに書いたものは自転車の交通ルールの

 最低限のものですが

 交通ルールはくれぐれも遵守をお願いします。

 

 

5.子供さんはヘルメットを着用

 これは、通常生活で二人乗りをする親御さんにお願いします。

 6歳未満の子供さんが、同乗中に事故に遭った場合

 40%近くが頭部を負傷するそうです。

 くれぐれもお子さん達の安全の為ヘルメットを…

 また、スポーツバイク愛好家の皆さんもヘルメットを

 被って頂けるように強く推奨いたします。

 また、多くの大会ではレース中・試走中は

 ヘルメットの着用が義務付けられていますので厳守して下さい。

 

 

 

サイクリング長野より

 

 シーズンオフになって、街を歩いたり、車を運転していると
スポーツサイクル・日常の移動手段の方など沢山のサイクリストを目にします。
そして、非常に危険なシーンを度々目にします。

特にスポーツサイクルをする方々には、自転車に乗る全ての人達の
リーダーとして模範的な存在であって欲しいと願います。

今日ここに記したことは、誰しもが至極あたりまえのこと!
と思うはずですが、その至極当たり前を保つことは
相当の心がけが必要だと感じています。

 

事故に遭わず、事故を起こさず。

 

全ての自転車乗りにとって
最低限でありながらも最大の命題は
日々無事に自転車を降りることです。

毎度ですが、サイクリング長野から具体的な提案や
指示のようなものはありません。ただ、他人様はどうであれ
自分はどうあるべきか?それを考えて頂き、
このエッセイがどなたかの考える糧になれば最良です。

皆さんの安全と楽しいライドを祈っています。

 

関連LINK

平成29年度「交通統計」(長野県警察)

自転車の安全利用推進委員会

長野県自転車競技連盟