〔レポート〕第 74 回 全日本大学対抗選手権自転車競技大会 インカレロードレース in美麻

「令和6年 能登半島地震」で被災された全ての皆様に心よりお見舞いを申し上げます。度重なる報道を見ていると本当に圧し潰されるような感情が去来します。特に一昨年お世話になった能登島コミュニティセンターが避難所になっているとのこと…。いまこの時点で出来ることは多くありませんが、当サイトも皆様の御心に寄り添い、皆様と共にありたいと思っております。どなた様も引き続き余震が続いておりますので、先ずはくれぐれも安全にお過ごしください。〔1月5日〕 

第74回インカレロードレースin美麻 レポート

 9月2日(日)に大町市美麻で行われた大学生にとっての夏の甲子園にあたる「第 74 回 全日本大学対抗選手権自転車競技大会ロードレース」に行ってきました。先ず最初にレポートが遅くなったことをお詫び致します。今回は過去に無いほど県勢選手の「熱走」が光りました。

また、サイクリング長野はこの大会のお手伝いをさせてもらいました。しかしながら、今回はコース上の安全管理やタイム計測などを行う競技役員では無くジャッジを下す審判として大会に参加した為にレース中の写真は一切ありません

以上の二つの理由からここ数年で最も熱かった県勢の活躍をどう伝えるべきか悩んだことで遅くなってしまいました。楽しみにして下さった皆さんにはお詫び申し上げます。実は今もまだ何を書き書くべきか迷っていますが、以下レポートです。

 

地元の深い理解があって辿り着いた今回の大会

 ご存知の通り今大会に関しては、開催までに紆余曲折がありました。学連のHPで各チームに通達があったように… このでもHPでも過去に触れたように…。我々自転車界は何時の間にかレースに理解ある美麻地域の方々の信頼を失うような行いを知らず知らず行っていました。その兆候は昨年の段階で既ににクレームと云うかたちで県車連・大学連盟(学連)に届けられ、学連は各チームに通達を出すレベルまでになっていました。

そして、今年ついに「一部地域の立入規制」と「直前のコース変更」と云う目に見えるかたちとなって表れました。それでも開催出来たのは、自転車競技を「おらが町の一大イベント」と改めて捉えて頂いた地元の方々の深い御理解と、開催に際し大変な御尽力を頂いた地元委員会の皆様のおかげです。

選手・スタッフ・役員・審判そして主催者の垣根無く、改めて自転車競技に携わる全ての人が大町市と美麻地域に感謝と、今後各チームが自らの行いについて考えて行く必要性を感じました。

 

レース中は交通規制が敷かれ地元の方々が対応にあたってくれた。

 

 この日ボランティアとしてコースに立って下さった方々から大会の終わりに「毎年楽しみにしている!」「もっと大会を有名にして沢山の人に観戦に来て欲しい!」と言って頂きました。選手の皆さんも連盟側も、改めてレースの開催のため陰に日なたに貢献して下さる地元の方々がいることその方達がどういう想いをもって参加して下っているのか改めて知ってもらいたいと思い、ボランティアの皆さんの御了解を得て今回写真撮影とHP掲載に御協力を頂きました。

 

今大会の安全管理に御尽力下さった地元ボランティアの皆様(蟻坂線入り口担当)

 

白馬クリテリウムでも少し苦言を呈しましたが、こうした方々の御協力の上にレースが行われることをどうか忘れないで下さい。

 

レースレポートと長野県勢の熱走

 

 

 今大会のコースは1周約13.4km、女子5周(67km)男子13周(174.2km)で行われました。コース変更があった地点が非常に狭い上、タイトなコーナーが連続して一部危険な箇所もあった為より優位なポジションを取りに行くためレースは序盤からかなりのハイスピードレースとなりました。

 

《女子レース》

 コースの特性上、より安全にリスクを減らす意味からも1週目から有力選手がスピードを上げて行く、周回が増すごとにペースについて行けなくなった選手が次々と脱落し過酷なサバイバルレースとなった。

そんな中でU23女子日本王者の中井(鹿屋体大)が強さを見せ、それに対抗して、吉田(同志社)、春先の「飯山菜の花クリテ」で活躍した中冨(京産大)、松本の「東日本学生トラック」で活躍をみせた八戸学院大勢から菅原と、今年信州でも活躍した選手達が力走を見せ。レースは最後1kmでの勝負となり、ゴール前でU23日本王者の中井が菅原を僅か1秒差でふりきり2018年のインカレを制した。

1位 中井 彩子 鹿屋体育大学 1:51’47’ 0
2位 菅原 朱音 八戸学院大学 1:51’48’ 0:00’01’
3位 吉田 鈴 同志社大学 1:52’07” 0:00’20” 
4位 中冨 尚子 京都産業大学 1:53’04’ 0:01’17’
5位 小口 加奈絵 日本体育大学 1:56’35 0:04’48”
6位 伊藤 真生 日本体育大学 1:57’05 0:05’18”
7位 中村 愛花 日本体育大学 1:57’22” 0:05’35”
8位 古山 稀絵 日本体育大学 1:58’33” 0:06’46”

公式リザルト(学連PDF)

 

女子トラック&ロードの総合成績は1位日体大 2位鹿屋体大 3位八戸学院大となった。

 

《男子レース》

 男子レースは171名が出走。大人数が美麻の水田地帯を走る様子はとても勇壮であり地元の方にもロードレースの醍醐味をアピールが出来たかも知れない。レースは女子同様に有力選手・チームがスピードを上げリアルスタートから一気に集団が動き始める展開となった。特に細いヘアピンと下りが連続するコースは集団を縦長にし、後ろにいる選手は必然的に不利となった。

レースは3周目頃から「逃げるグループ」とそれを追う「メイン集団」(プロトン)とに分かれた。その差は3分~3分30秒程度で落ち着きレースは暫く小康状態となった。しかしコースの特性上、後ろにいる選手は足を使わざるを得ないかたちとなって周回を重ねるごとに選手が一人・二人と脱落。

県勢は京産大のアシスト小出(京産大:松本工出)が集団の比較的前方に、明星大の佐藤大志・宇志兄弟(明星大:下諏訪向陽出)が中盤に、信州大勢が中盤やや後方に陣取ってレースを展開して行くかたちとなった。

信州大の見せ場となったのは、中盤に逃げ集団とプロトンが3分前後で推移して落ち着いた場面。登り切って平坦になった南関門付近で2名の選手で積極的にアタックを仕掛け、これをプロトンが追いかける展開となった。一連の攻防は決断力と勇気を必要とされる場面でもあり非常に見応えがあった。

レースは終盤、京産大の中井が単独で逃げを打つ。アシストとしてプロトン内の抑えにまわった小出は大きな仕事をしたはずなのだが、レース終盤になっても疲れを感じさせない力走を見せ、むしろ初めてのインカレに出場している「使命感・充実感」や「楽しいです!」と云う想いが走りを通じてほとばしるように伝わって来た。(レース後の小出の談話は「メチャクチャきつかったです!」と語っていたがその表情は充実感と持ち前の明るさに満ちていた)

一方でレース終盤で必死に頑張っている県勢の選手がもう一人いた。信州大の大森が粘りの力走を見せていた。シーズン開幕からここまで目立ったリザルトを挙げておらず本人も苦しいシーズンとなっていた。レース前夜に大森の今シーズンの想いが書かれたブログを読んだが、彼のここに至るまでの想いが前面に現れた必死の力走は観る人の琴線に触れる走りだった。

レースは最終局面に入ると、中井(京産大)の単独アタックを後続が許さず、最後は8月の白馬クリテリウムで大活躍した野本空が飛び出し前評判通りの強さを見せつけて優勝。日大の美麻ロード連覇を阻んだ。

171人でスタートしたレースの完走者は僅かに32名、初出場となった小出は14位森は26位で見事完走を果たした。

1位 野本  空 明治大学 4:26’19’ 0
2位 武山 晃輔 日本大学 4:26’43 0:00’24”
3位 奥村 十夢 中央大学 4:27’05” 0:00’46”
14位 小出  樹 京都産業大学 4:28’00” 0:01’41”
26位 大森 竣介 信州大学 4:33’25” 0:07’06”

公式リザルト(学連PDF)

 

男子ロード優勝は白馬でも活躍した野本空(明治大)

 

インカレの県勢を振り返って

 今年のインカレが終わって県勢の活躍を振り返ってみると今年は信州大選手達の意識が非常に高かったことが挙げられる。トラックでは4年生の増田が初日の個人追抜きで暫定1位となる快走を見せ13位になると、同じく4年生の堀江が初戦でいきなり敗退するものの敗者復活戦を1位で勝ち抜きそこから順位決定戦まで勝ち上がって最終11位の成績を残した。また、チームスプリントでも10位と今後に繋がる結果を残した。二人の4年生は今後は長野県代表として国体を走ることになるが引き続き彼らの熱走に期待したい。

4年生として最後の国体を走った堀江は長野県代表として国体を走る

 

ロードレースでは、小出(京産大)が期待通りの活躍を見せた。小出もまた長野県代表として今月末の国体での活躍が期待される。佐藤兄弟(明星大)も初のインカレ出場までの勝ち上がりが見事で、まだ3名とも1年生ということもあり今後の活躍に大きな期待が持てる。

また、ロードレース部門でも信州大を評価したい。沿道の観客の話しが伝わってきたのだが「信大の頑張り」は本当に大きかった。本人達は優勝戦線に絡めなかったことで不本意かも知れないが、ここ数年で一番「想い」の伝わって来るレースだった。完走を果たした大森だけでなく、3年生の寺尾・熊野・西部が力走をみせ、ズルズルと後退して行くこと無く最後までしっかりと戦ったことが必ず来年へ繋がることと思われる。初出場の2年生小林も含め新生信州大学を大いに期待したい。

 

 出場選手達のインカレ レースレポート 9月5日現在

 小出 樹(京都産業大学)本人ブログより

 小林弘幸(信州大学)自転車競技部ブログより

 堀江省吾(信州大学)自転車競技部ブログより

 熊野勇介(信州大学)自転車競技部ブログより

 寺尾 駿(信州大学)自転車競技部ブログより ※トラック競技

 阿部佑介(信州大学)自転車競技部ブログより ※トラック競技 

 

 

 

今年の大学生達にとっての

最高の舞台が終わりました。

誰一人「闘志」を失わず

最後まで走り切った信州勢を

県サイクリストの皆さんは

大いに褒めてあげて下さい。

彼等は立派に戦い抜きました。

次はいよいよ国体もあります。

引き続き信州を代表して走る選手達に

温かいご声援をお願い申し上げます。

 

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日本学生自転車競技連盟

大町市

長野県自転車競技連盟

信州大学自転車競技部(ブログ)

京都産業大学自転車競技部(公式HP)

明星大学自転車競技部(ブログ)