〔告知〕女性サイクリストをどう増やす?「女性スポーツ促進に向けたスポーツ指導者ハンドブック」紹介

「令和6年 能登半島地震」で被災された全ての皆様に心よりお見舞いを申し上げます。度重なる報道を見ていると本当に圧し潰されるような感情が去来します。特に一昨年お世話になった能登島コミュニティセンターが避難所になっているとのこと…。いまこの時点で出来ることは多くありませんが、当サイトも皆様の御心に寄り添い、皆様と共にありたいと思っております。どなた様も引き続き余震が続いておりますので、先ずはくれぐれも安全にお過ごしください。〔1月5日〕 

「女性スポーツ促進に向けたスポーツ指導者ハンドブック」の紹介

 

 こんばんは、サイクリング長野でございます。

オリ・パラ終わって楽になるかと思ってたのに

オリパラ行ってたせいで、色々な問題が勃発して

本当にここまでほぼ無休で自転車仕事に勤しんでいました。

 

しかしながら、この間の視界がグニャ!となって

ぶっ倒れてから、今年は早めのシーズンオフ! 

流石に倒れたおかげでもう誰も文句を言わないので 

最近はのんびりと仕事をしていますが… 

 

俺の場合 忙しくないと逆に捗らねぇー! 

もうシーズンオフ・モードになっているから

報告書だレポートだ… 提出しなければいけない

モノが沢山あるのに文章が1行も書けない。

 

 

無気力状態。

 

 

そんな状況下、デスクに山積みになっている

書類・各種報告書・レポートなどの「積読」を

つまみ読みしてる今日この頃の自分は、さながら…

 

部屋の掃除をしつつ、懐かしいマンガ本を

発見して読み込んでしまい何もせずに日が暮れるが如く。

 

そうした現実逃避の「積読」の中から、今日は興味深い

文献を二つ発見した(斜め読みした)ので紹介します。 

 

◇女性スポーツ促進に向けたスポーツ指導者ハンドブック(日本スポーツ協会)
◇Go where women are (SPORT ENGLAND)

 

以上の2冊です。これ「日ス協のハンドブック」が 

イングランドスポーツ協会のエッセイを参照に作成されているので

二冊で一つのレポートと思ってご覧ください。

 

ちょっとマクラが長くなってきたので

詳しくは下記を御覧ください。

 

 

 

女性スポーツ促進に向けたスポーツ指導者ハンドブック

 

 

女性スポーツ促進に向けたスポーツ指導者ハンドブック

 現在、我が国では、女性の運動・スポーツ実践が奨励されている一方で、女性のスポーツ実施率、スポーツ観戦率、スポーツボランティア実施率は、全世代を平均すると男性と比較して低い現状にあります。その背景には、女性とスポーツに関する様々な課題があり、これら課題の解決には、女性特有の「身体的特徴」や「意欲・ニーズ」などへの配慮が必要です。

特に、女性のスポーツ参加を手助けする「スポーツ指導者」「保護者」「学校関係者」といった支援者が理解し、女性と接することが重要であると考えられます。JSPOでは、これらの支援者に向けて、女性を対象としたスポーツ指導や、スポーツへの参加を促す上で、留意すべき医・科学的知見をまとめたハンドブックを制作しました。 (日本スポーツ協会HPより)

 

 主な構成
 はじめに
 第1章 女性スポーツ指導の留意点
     ・女性スポーツの医学
     ・女性スポーツの栄養
     ・女性スポーツにおけるハラスメント
 第2章 女性スポーツ啓発の留意点
     ・幼児から小学生まで
     ・中学生から成人まで
     行動変容を促す方策

 参考文献

 

◇無料ダウンロードはこちら。(PDF/日本スポーツ協会)

 

 

 

 

 

Go where women are

 

 

 

Go where women are

 Go Where Women Are イギリスのスポーツ庁の傘下のスポーツイングランド(イングランドスポーツ協会)が作成したエッセイ。女性をスポーツに参加させるためにどうするべきか?をフィジカル面・心理面から分析し、現在のスポーツに関する女性の理解や、スポーツをする上での動機づけ・女性がスポーツをする上で障壁となるものは何か?等を分析したレポート。

Go Where Women Are’ is about engaging women in sport and exercise on their terms and in their space whether physically or emotionally. This review explores our current understanding of women, their relevant motivations, barriers and triggers to getting more active, and what this means for sports and exercise activities and initiatives. (SPORT ENGLANDより)

 

 主な構成
 第1章 変化の必要性
 第2章 このレビューの目的
 第3章 重要な原則
 第4章 オーディエンスを理解する
 第5章 どう女性・女児と関わるか?
 第6章 チェックリスト
 第7章 参考文献

 

◇無料ダウンロードはこちら。(PDF/SPORT ENGLAND)

 

 

 

 

女性サイクリストを増やすために先ずすべきは?

 

 昨年、当サイトでは2021年の最大の目標として

女性サイクリストをどう増やすか?という課題をあげました。

残念ながら、今年はオリパラでそれに対してちゃんと

取り組むことが出来なかったのですが…

 

今年は、県連で毎月開催している「美鈴湖自転車学校」にて

女性限定の講座を10月に試験開催。それ以降

2019年の国内長野県代表の榊山来実(松本大)を

中心に高校生の平山なつみ(松本工高)などが声をかけ 

女子競技者同士が合同練習を行うなど

本当に小さいけれど確かな進歩をすることが出来ました。

 

 

 

 

一方で昨年、JCFが「女子育成部会」というHP上のコーナー?を

公式サイトにあげました。これに対して当サイトとしては 

今まで女性サイクリストに対し、何もしてこなかった

JCFを評価する一方で…

 

 

深い堀と高い城壁の中の施設を少し整備したに過ぎない

 

 

と評しました。やはり、日本自転車界はどうしても

普及・育成・強化をごちゃ混ぜにして考えている。 

この「女子育成部会」は、あくまでも女子アスリートのためのモノでしかない。

 

 

 

 

いま日本自転車界に近々に迫った危機というのは 

自転車界全てにおいて女性の人材が足りないということ…

 

 

今週末開催される、MTB日本一を決める 

全日本選手権MTBクロスカントリーの女子エリート選手は4名しかいない…

(他競技から来た自分が一番「謎」なのは、この4名しかいないことを危機と感じないことが本当に不思議…)

 

 

先ず大切なのは、自転車競技という壁の高い城塞に
誰でも通れるように橋をかけ、入り口をつくること。

 

 

その為のヒントがこの2冊のレポートに詰まっている気がします。

 

 

長野県で女子サイクリストを増やすためにどうすればいいか?

 

 

 

運動を行っていない女性にアプローチする7つの方法

 

 今回の日本スポーツ協会のハンドブックですが

女性に対するスポーツに関して非常に多岐に渡っています。

それこそ話題の「ハラスメント」「ジェンダー問題」等も

書かれているのですが…

 

その中で当サイトが一番注目したのが、最終章での

「運動を行っていない女性の心理分析と、女性の気持ち」です。

 

昨年来、どうやって長野県に女性サイクリストを増やすかを

小布施maaruの阪田さんと長く意見交換しているのですが

阪田さん御自身は自転車競技の経験が無い故に 

一般の女性目線で自転車普及にアプローチをして下さっている。

 

 

 

 

それは我々男性目線、そしてスポーツ競技者以外の視点からの

普及方法とは大きく違い、非常に斬新であり目から鱗でした。

いまの長野県の自転車界において非常に重要視しないといけない

視点だと強く思っています。

 

そこに加えて、このハンドブックが引用している

イングランド協会のレポートの7項目をみて

改めてなるほど!と思わされたのでご紹介します。

 

 

1.提案内容を対象としている女性に適合させる
 女性が従来の運動・スポーツの価値観に適合すると期待しない。

 現在の運動・スポーツについての提案内容は、多くの女性に関連させてアピールしていない、
 または彼女たちに適合しているとは言えない。彼女たちが気にかけていることを聞き出し
 彼女たちが望む情報を提供する必要がある。

 

2.スポーツのことだけを話さない
 多くの女性にとって、スポーツはお荷物(負担)でしかない。

 多くの女性にとって、「スポーツ」という用語とその伝統的なイメージはネ
 ガティブな連想を引き起こす。女性が持つ経験をどのように提供するのかを考
 えることによってこの問題にあたる。

 

3.運動・スポーツの実践によって付加的な
 恩恵を促し、他の興味と区別させる

 女性が求めるものを売り込む。

 運動・スポーツの実践による健康への恩恵に加えて、人との交流、スキルの
 発展、家族と一緒に時間を過ごすこと、というような恩恵を提供する。多くの
 女性にとって、運動・スポーツの実践が他の活動よりも優先させるように工夫する。

 

4.女性にとってスポーツを行うことを「標準」とするためには、
 彼女たちが単に
活動的になるというだけではなく、
 行うこと自体を褒め、他の女性にも加わる
ように
 勧めさせることである。

 女性たちが加わるのをただ待つのではなく、運動・スポーツを日常的な生活の
 一部分にさせることによってコミュニティの中に活動を取り入れ、新しい
 人々を引きつけることができる。

 

5.行動を引き出すためにポジティブな内容や激励を行う
 できないと恥ずかしいというプレッシャーを与えない。

 対象となっている女性や少女には、安全・安心できることが重要である。
 彼女たちが能力を持っていないということで傷つけるようなことをしない。

 

6.容易に行動を起こさせるようにする
 ふさわしい時間帯に、ふさわしい場所で、ふさわしく歓迎されて、
 ふさわしい仲間と、ふさわしい用具で。

 実際的な、また感情的な妨害要因が活動的になりたいという動機を
 上回らないように、一緒に問題を解決する。

 

7.経験が成否を握る
 対象者が途中で適切にサポートされているかどうかを確かめる。

 なじみであろうとなかろうと、最近通うのをやめてしまったとしても
 彼女らが歓迎されるように扱われ、定期的にコミュニケーションが
 はかれるようにする。

引用:女性スポーツ促進に向けたスポーツ指導者ハンドブックより

 

〔スポーツイングランドの原文〕

(Reference:Go where women are/SPORT ENGLAND)
クリックすると大きくなります。

 

 

 

これを見て、一つずつ解説したいのですが

ちょっと長くなるのでそれは置いておいて。

 

男性から見て女性の心理と云うのは

非常にミステリアスなもので、それは逆に

女性から男性の心理をみても同じこと。

それ故「こんなもの!」と

一概に軽視できないものがあります。 

 

また、この7項目はあくまで「普及」であり 

「育成」「強化」が必要な女性アスリートとは 

アプローチが違ってくるが… 

 

 

ともあれ、まだ斜め読みでしっかりと読み込んではいないものの

これだけ見ても十分に「ハッ!」とさせられる所があります。

 

 

これを見てどう思うかは、このレポートを

是非ご覧いただいて、読まれた方に委ねたいと思います。

 

あと、こういうの読むときに注意して欲しいのは

データーはあくまでデーターであり 

これが全てのケースにおいて適応される訳では無いこと。 

 

恋愛指南書と一緒で、これを読んだから 

女性の気持ちが全て解ってモテモテになると思ったら

大間違いだと、モテない自分からお断りを入れておきます。

 

 

 

 

という訳で、去年今年と忙しくて

何かを学んだり、本を読んだり

知識をインプットしている時間が無く

サイクリング長野を通じて

ひたすらアウトプットをし続けている状況。

久々に何となく新たな情報仕入れました。

 

昨年の話しですが

 

自分という個人が長野県で女性サイクリストを増やせるか?

ということには昨年の段階で無理!と結論づけてます。

 

その上で、それでも当サイトとして

出来るであろうことは…

 

自転車をやってみたい女性がいたとして 

それを上手く導いてやる情報発信と

ストレスの少ない環境づくりだと思います。

それがまだまだ足りていない。

 

そうした意味でも、今回の2冊は非常に

自分にとっても有益な情報だと思いました。 

さて、皆さんはどう思いましたかね? 

 

特にコレ、コーチや指導者というよりも

これから自転車界に関わりたいという

自転車志望の若者達(大学・高校生)に

読んで欲しいと思います。 

 

皆さんの考える糧になれば幸いです。

 

※何かもう完全にシーズンオフです。
 レポートとか報告書とか… 全然やる気が起きません。
 何かPCの前に座ると積読をむさぼり、不要なネットサーフィンをしては
 こうしてサイクリング長野の記事を更新して(言い訳にして)
 現実逃避しております…

 報告書とか、メール返信とか暫くお待ちください。
 多分、年内にはお送り致します。

 

関連LINK

日本スポーツ協会(公式HP)

SPORT ENGLAND(公式HP)

長野県自転車競技連盟(公式HP)