〔告知〕選手や指導者・保護者の方にも知ってもらいたい「アンチ・ドーピング使用可能薬リスト2021年版」のお知らせ。

「令和6年 能登半島地震」で被災された全ての皆様に心よりお見舞いを申し上げます。度重なる報道を見ていると本当に圧し潰されるような感情が去来します。特に一昨年お世話になった能登島コミュニティセンターが避難所になっているとのこと…。いまこの時点で出来ることは多くありませんが、当サイトも皆様の御心に寄り添い、皆様と共にありたいと思っております。どなた様も引き続き余震が続いておりますので、先ずはくれぐれも安全にお過ごしください。〔1月5日〕 

「アンチ・ドーピング使用可能薬リスト2021年版」

 

 最近、色々な理由で更新が滞っていて申し訳ありません。

 

さて先週ですが、日本スポーツ協会(旧日体協)より

アンチ・ドーピング使用可能薬リスト」2021年版が発表されました。

高校生以上の選手はもちろんですが、長野県の場合はU-17以下の

選手を数多く抱えています。 

 

自転車界は、その歴史から特にアンチドーピングに関して

様々な所から厳しい目で見られています。

 

現在のところ国際的に見ても

小中学生がドーピング検査を受けると云う例は

殆どありませんが、これから競技を続けて行く上でも

ぜひユースの選手と保護者の皆さんにもドーピングに対する

興味を先ずは持ってもらえればと思います。

 

※勿論エリート・U-23・ジュニアの選手・指導者も読んで下さい。

 

詳しくは下記をご覧ください。

 

 

 

 

アンチ・ドーピング使用可能薬リスト

 

クリックすると大きくなります。
(上記の情報は一部だけですので、必ず下記にあるLinkでご確認下さい)

 

先週、日本スポーツ協会から発表された
使用可能薬リストは下記よりダウンロードして下さい。

◆使用可能薬リスト(2021年版)はこちら

 

同じ名前の薬でも、会社によって成分が違う場合もあります。
 また、特に最近少し問題となっているのは海外サイトから
 薬・サプリメントを購入出来てしまうことです。

 特に海外製のモノは本当に成分がよく解らない場合があるので
 個人的にはおススメしません。

 とにかく選手で一番怖いのはうっかりドーピングです。
 知らないでは済まされないので、日頃から体内に摂取するものに対し
 気を配ると共に、最低限の知識を身に付けるようにして下さい。

 もし、判断に迷うことがあれば…

 現在の長野県にはアンチ・ドーピングに携わる
 専門のスポーツ薬学専門士「ポーツ・ファーマシスト」と呼ばれる方が
 2021年現在36名いるので、お近くの薬局や病院で必ず相談して下さい。

 また、ドーピングに関するルールは、シーズン中に変更されることもあります。
 そうした実情も競技を行うのであれば早い段階から意識するようにして下さい。

 

 ※あなたの住んでいる街のスポーツファーマシストを調べるにはこちら

 

このリストに関するお問合せ

 

 

 

ユース選手と保護者の方に知っておいてもらいたいこと。

 

当サイトは、薬剤学の専門では無いのですが、

ユースの選手と保護者の皆さんに最低限の知識として

知っておいて欲しいことを記しておきます。

 

 

・未成年のJCF選手ライセンス登録の際には保護者によるアンチドーピングに関する承諾が必要

  2021年1月4日より、全年代のJCF選手ライセンス新規登録の受付が開始されています。
 ご存知の通り、日本国内ほぼ全ての自転車競技公式戦に出場する場合にはライセンス登録が必要です。
 既に登録された方はご存知だと思いますが、未成年選手に対しては、ライセンス取得の際に
 アンチドーピングに関する親権者の同意が必要となります
 ライセンス記入の際は必ず下記サイトをご覧ください。

 

 

 

 

・絶対に忘れてはいけない!TUE(治療使用特例)申請

  競技者である以上、絶対知っていなければならないTUE申請です。
 TUEは「治療使用特例」です!禁止物質であっても、所定の手続きによって認められれば
 例外的に使用することが出来ます。ただこのTUEと云うルールに承認されていなければなりません。

  〇TUEの承認条件
   ・治療をする上で、使用しないと健康に重大な影響を及ぼすことが予想される場合
   ・他に代えのきく治療法が無い場合
   ・使用しても健康を取り戻す以上に競技力を向上させる効果を生み出さない場合
   ・ドーピングの副作用に対する治療では無い場合

  ※JADAでは例年TUE事前申請が必要な大会一覧を作成してるのでエリート選手は確認して下さい。

 

〔TUEに関する詳しい案内〕

 

 

・意外な盲点である「目薬」「塗り薬」にも注意!

  2019年 第7回美鈴湖自転車学校の自転車選手の親御さん向け講習会で、自分がお話ししたのですが
 昔、自分がいたスポーツで当時前代未聞の「塗り薬によるドーピング」がありました。

 その禁止薬物を含んだ塗り薬とは意外にも「育毛剤」でした。
 ドーピング結果として「アナボリックステロイド反応」が陽性となり
 実際にその選手は2年?の出場停止となりました。

 それは自分にとっても盲点だったことを覚えています。
 どうか、経口摂取するモノだけがドーピング対象では無く、何気なく使う
 「塗り薬」や「目薬」にも注意して頂ければと思います。
 

 

 

21年より世界アンチ・ドーピング規定が変わります

 

 JADA(日本アンチ・ドーピング機構)より大切なお知らせです。

2021年1月1日から世界アンチ・ドーピング規定である「CODE」(コードと読みます)が変わりました

エリート・U-23・ジュニアの各カテゴリーの選手・指導者の方はご一読下さい。

 

世界アンチ・ドーピング規定2021(PDF/JADA日本語版)

 

 

 

(参照元:Youtube/JADA)

 

 

 

 

ショートコラム

 

 

 

 素朴な疑問
医療用大麻とCBDオイル

 

 先ずお断り!ここでは少し「医療用大麻」の話しに触れます。大麻の合法化・非合法化は医薬・法曹・政治の専門家にお任せしますので大麻の功罪については触れません。それと、かなりマニアックな話しなので興味の無い人は読み飛ばして下さい。

 

実は、海外で暮らしてた時に「スポーツ生理学」の単位をとるコースに人数調整で入れられてしまい渋々勉強することになりました。で、一番最初に「スポーツの意義」「アンチドーピング」を勉強するのですが、その国はドーピングに対して子供達に対してもかなり厳格な教育をしていた関係で自分も色々と興味をもつことになりました。

 

そんな背景があるのですが、2年ほど前に素朴な疑問が生まれました…

 

2019年頃、アメリカの一部の州で大麻が一定の条件の元で合法化されました。これに準ずるように幾つかの国が「医療用大麻」の使用を解禁。そして、この波に乗るように日本国内でも2019年の秋頃から人気Youtuber達(特に年末の格闘イベントで活躍した選手達)が企業とタイアップして、大麻の中の成分である「カンナビジオール(CBD)」を使用した電子タバコ等を宣伝し始めました

 

CBDと云う成分は、所謂ハイになったりするTHC(テトラ・ヒドロ・カンナビノール/日本では販売禁止)とは別の成分で、鎮痛・鎮静・安眠等に効果があると言われており、現在もCBD成分だけを抽出した成分のオイル等が国内で一般販売されています。ご存知の通り、世界アンチドーピング機構(WADA)の規定によると、アスリートの「ドラッグ類(合成・天然由来含む)」の使用を厳しく禁じています。

 

それを踏まえて持った素朴疑問が二つ生まれました。

 

 ・仮に海外で医療用大麻による治療を受けて検出された場合ドーピングになるのか?

 ・日本国内で販売されているCBDオイルの成分が
  体内から検出された場合はドーピングになるのか??

 

そんな漠然とした疑問を抱えつつ、先日改めて2020年のWADAの国際基準要綱をみていたら、CBDオイルに関して明確な基準が記載されていました。

 

クリックすると大きくなるの興味のある方は「赤いライン」を確認して下さい。

 

それによると…

 

〔S6章〕
 ・カンナビノイド(麻に含まれる化学成分)の情報をアップデートしました。
  天然・合成を問わずカンナビノイドは禁止されています。
  幻覚作用の成分であるTHCも天然合成問わず禁止です。

 ・CBDに関しては禁止されていない。しかし、大麻植物から抽出されたものには
  THCを含むものもあるし、CBD製品の中から禁止物質が検出された場合は
  ドーピング陽性となる可能性もあるので、アスリートは注意したほうが良い。

 とありました。 

 ※因みにこの日本語訳のものが無いか調べたらJADAのHPにあったので 
  深く知りたいかたはこちらの16ページをご覧ください。(JADA/PDFファイル)

 

 

まとめとしては、大麻成分の中で精神活性作用成分THCが検出された場合は禁止薬物であり陽性が疑われるCBDに関しては、その物質単体では禁止薬物では無い!ということ。Amazonや楽天市場などで普通に売られているCBDオイルに関しては、CBD成分だけであれば摂取したとしてもドーピング陽性にはならない!という認識になりました。

最後に、目下国内で流通している「CBDオイル」はほぼ海外製です。近々で禁止されている成分のTHCが混入されている事案が無かったか調べてみましたが…

結果は以下の通りです。

 

話しにオチが付いたところで…

 

日本国内で販売していた商品であったとしても
海外のサプリメント等を摂取する際には
くれぐれも気を付けてもらえればと思います。

 

 

 

 

 

 

と、云うわけで今回は

日本スポーツ協会が使用可能な薬品リストを

発表したので、皆さんに興味を持ってもらうべく

記事に上げました。

 

ただ、ドーピングに関しては専門性も高く

そもそも、つねに追い越し・追い越せの

いたちごっこで、凄く難しい問題だと思います。

 

今回の記事で、自分も前から疑問があった

国内で一般販売されている、大麻由来のCBDオイルが

ドーピングにひっかからないか?

ずっと気になっていて、それにまつわる話をしました。

 

とにかく…

 

普段からドーピングに関しては興味を持つことが大切で

常に情報をアップデートしていて欲しいということです。

 

確かに国内では、全国規模の大きな大会でしか

ドーピング検査はされませんが

それでも、選手のライセンスを持つ限りは

検査対象者であると云うことを認識してもらい

共に情報を共有してもらえればと思います。

 

そして、やはり最後に自分を守るのは

自分自身であると云うことを

強く自覚してもらえればと思います。

 

 

 

 

関連LINK

日本スポーツ協会

日本アンチ・ドーピング機構

厚生労働省