〔レポート〕今年は15名が受講!長野県車連主催「2021年JCF公認自転車競技3級審判講習会」開催。

「令和6年 能登半島地震」で被災された全ての皆様に心よりお見舞いを申し上げます。度重なる報道を見ていると本当に圧し潰されるような感情が去来します。特に一昨年お世話になった能登島コミュニティセンターが避難所になっているとのこと…。いまこの時点で出来ることは多くありませんが、当サイトも皆様の御心に寄り添い、皆様と共にありたいと思っております。どなた様も引き続き余震が続いておりますので、先ずはくれぐれも安全にお過ごしください。〔1月5日〕 

長野県車連主催「2021年度JCF3級審判講習会」開催

 

 先ず、レポートが大変遅くなってしまったことをお詫びいたします。

さて、2021年11月28日㈰松本市美鈴湖自転車競技場で

JCF公認3級自転車競技審判講習会が開催されました。

長野県では年に1度の開催となる同講習会は、今年も1日の講習会と

試験が行われ

 

ロード・トラック・シクロクロス・MTB・トライアル

サイクルサッカー・サイクルフィギュア

 

本年は15名の自転車競技公認審判員が試験に合格して

2022年度の3級ライセンスが付与された。

 

 

 

講習会の様子

 

 本年は15名が審判講習会に参加。今年の特徴は

松本情報工科専門学校スポーツバイシクル学科の1年生7名が受講したほか

半数がマウンテンバイク関係からの受講者となった。

 

女性は3名が受講し、最年少は

現在、高校自転車で活躍する

松本工業高校の平山なつみ選手が審判ライセンスを取得した。

また、過去5年間では最高の参加人数となった。

 

前日降った雪で開催が案じられたが、当日は天気も良く
暖かな日差しの中で審判講習会が開催された。
開始に先立ち浅香英二長野県自転車競技連盟理事長が挨拶を行った。

 

今年は午前中の講義を伊藤清朗審判委員長が担当した。
また、講習には金子稔ドクター、小林秀一前審判委員長も駆け付けた。

 

自転車の検車講習会からは藤森信行UCI国際コミッセールも加わる

 

今年も自転車の最低重量やハンドルの高さ等細かく講義が行われた。

 

ジュニア選手(U-19)ユース選手(U-17&15)選手のギア比検査の実習行われた。
専門学生達にとっても初めての経験となった。

 

美鈴湖自転車学校でもおなじみの自転車競技場の説明も行われた。
特にMTB関係者の受講者の皆さんには、なかなか競技場の走路に
降りる機会がないため新鮮な体験となった。

 

午後は藤森信行UCI国際コミッセールによる自転車競技における
ロード・トラック競技などの具体的なルールの説明が行われた。

 

午後の眠くなる時間帯には、藤森氏による
海外大会における事象やオリンピック等での
審判執務で実際に起こった事象を踏まえた
ケーススタディ等も行われた。

 

全ての講習が終了した後、恒例の審判試験が行われ
全員が60点以上となり合格、晴れてライセンス取得となった。
写真は今回最年少の平山なつみ選手(松本工業高2年生)

 

 

JCF3級審判講習会の主な講義内容

 

 

講師
 伊藤清郎JCF1級審判員 
 藤森信行UCI国際コミッセール

 

◇公認審判員規定について
 ・登録有効期間について
 ・更新について
 ・審判員ライセンス取得について
 ・審判になるためには?
 ・定年について
 ・ライセンスの取り消し事項について
 ・審判員の心構えについて
   公平、公正、中立の原則
   SNSの扱いなどについて
 ・各級の役割について
   1級から3級各級で何が出来る?
   2級になるためには?
   国際審判員について
 ・どこの連盟に所属するか?その種類等の説明

◇自転車競技組織の説明
 ・海外
   UCI(国際自転車競技組合)
    アジア大陸連盟
  ・国内
   各都道府県連盟
   日本プロサイクリスト協会(JPCA)
   全日本実業団自転車競技連盟(JBCF)
   日本学生自転車競技連盟(JICF)
   高等学校体育連盟自転車専門部(高体連)など

◇競技規則に関する説明
 ・競技規則はシーズン前、シーズン中に変わることがある
 ・日本独自の競技があり、日本国内でのみ適応されるルールがある。
 ・大会特別ルールに関してはコミュニケと云う紙面で通達する。

◇ライセンス保有に関して
 ・ライセンス保有時の責任について
 ・大会出場時のライセンス携帯について。
 ・ライセンスは誰が必要か?
  例:選手、指導者、アテンダント、審判

◇競技者の義務
 ・交通ルールの順守
 ・競技中の事故に対しての責任
 ・スポーツマンとしての立振舞と言動。
 ・自転車の整備義務

◇競技者の装備について
 ・袖付きのジャージを着る
 ・ゼッケンをかくしてはならない。
 ・JCFヘルメットの義務
 ・ヘルメットを外すと最悪の場合失格となる。
 ・コンプレッションウェアの禁止
 ・ソックスの長さについて
 ・国際大会でのナショナルチームジャージについて
 ・ロードレースの際のジャージ着用義務
   各リーダージャージ
   世界王者ジャージ
   大陸王者ジャージ
   各国リーダージャージ
   各チームジャージ
 ・ジャージの広告について
 ・団体競技におけるユニフォーム規定
 ・ゼッケンの位置について
 ・ゼッケンの規定とレース終了後の義務
 ・ヘルメットカバーと計測チップ

◇自転車について
 ・自分や他の選手に危険を与えてはならない。
 ・エンドキャップ等をしなければならない。
 ・製造者によって提供される機材を改造してはならない。
 ・必要であれば、レース前・中・後の機材検査義務
 ・機材革新はUCIの許可を受けるまで公式戦で使用不可

◇自転車の定義と機材規定
 ・人間が機械より優位であること。
 ・原則として自転車上で着座した姿勢でなければならない。
  サドルがあり、ペダルに足、ハンドルに手が置かれる状況。
 ・自転車の全長は185㎝(ロード・トラック)
 ・サドル先端がBB中心より原則5㎝後方でなければならない。
 ・ホイールはUCIの承認を得たもの、ロード・シクロは
  最低でもスポークが12本無ければならない。
 ・自転車の重量は6.8㎏を下回ってはならない。
 ・ロード、シクロは基本伝統的形状のハンドル(ドロップハンドル)
 ・映像カメラ、パワーメーター等の計測器に関する規定。
 ・トラックでは、フリーホイール、変速機、ブレーキの禁止
 ・ディスクブレーキについて
 ・子供達のギア比制限について

◇制裁について
 ・制裁の種類
  警告、けん責、罰金、降格、失格、メダル賞金の返還、出場資格停止。
 ・降格とは…
  違反者が影響を与えた選手より下位にされる。
 ・失格とは…
  すべての順位から除外

◇異議申し立て
 ・原則としてコミッセールパネルの決定が最終であり
  異議申し立ては出来ない。正し、特別規定がある場合は
  書面により、供託金を添えて提出する。
 ・最終走者ゴールより30分以内。

◇審判員の任務
 ・レース開催時における競技担当役員の最小必要人数
 ・コミッセール(審判)とは?
 ・アシスタントコミッセールは3級以上のライセンスが必要。

◇主な審判の仕事
 ・スターター(出発合図)
  スターターのみがスタートの有効性を判定出来る。
 ・フィニッシュジャッジ(決勝審判)
   ゴールの最終判定者であり、唯一の着順決定責任者。
 ・タイムキーパー(計時・時間管理者)
  タイム計測を行い1/1000秒まで計測する。
 ・アッシャー(招集)
  競技者をスタートラインに誘導する。
 ・バイクインスペクター(検査員)
  競技者の乗る自転車に違反が無いかチェックする。
 ・ラップカウンター(周回管理)
  周回レースにおけるレースの周回を管理する。
 ・ベルリンガー(打鍾)
  最終周回でベルを鳴らす。
 ・ID管理者
  会場でID管理を行い、無用の者の立ち入りを管理する。
 ・アナウンサー(通告)
   会場でレースのアナウンスを行う。

◇自転車種目と公認審判ライセンス
 ・自転車競技の種目とライセンスの範囲
   ロード、トラック、シクロクロス
   MTB、サイクルサッカー、サイクルフィギュア
   BMX、トライアル、パラサイクル

◇競技者区分
 U-12(ユース)
 U-15(ユース)
 U-17 (ユース)
 ジュニア(17才まで)
 U-23(23歳以下)
 エリート(23歳以上)
 マスターズ(30歳以上)
 ※競技や大会により細かい規定がある

◇美鈴湖自転車競技場の説明
 ・競技場のサイズと特徴
 ・競技場のラインの種類について

◆競技場内の説明と検車について
 ※実際競技場におりての諸説明

◆検車についての説明
 ※検車用スケールを用いた検車説明

◆ジュニアギア比の説明と測定方法
  ジュニア:7.93m
  U-17:7.01m
  U-15:6.10m
  U-13:5.66m

◇各競技の説明
 ・各種目の説明
   トラック競技の種目と説明
   ロードレースの説明
   シクロクロスの説明
    その他の競技の説明

 

 

 

ライセンス登録に関する諸説明(講師:奥原進治 JCF1級審判員)

◇ライセンス登録
 ・ライセンス登録について
 ・新規更新方法と継続方法
 ・登録地についての説明
 ・その他

 

 

 

 

告知を頂いた販売店・関係者の皆様へ御礼とお願い

 

 例年、審判講習会に関しましては、東北信のほぼ全てのスポーツ自転車店様に講習会開催の告知の御願いしておりましたが、今年は新型コロナの影響もあり昨年に引き続き東信地域の販売店の皆様のみの告知とさせて頂きました。それでも、北信地域の自転車店の皆様にはお店のブログやSNSを通じて自主的に開催の告知をして頂きました。多くの皆様の御心遣いに心より御礼を申し上げます。

 

 

今年も、自転車販売店の皆様へ恒例のお願いと

新しい情報をお伝えいたします。

 


 

◇2021年JCF自転車競技規則集無料ダウンロード

 本年のJCF公認「自転車競技規則」が無料ダウンロード可能です。

無料ダウンロードはこちらから。(PDF/JCF公式HPより)

 


 

◇ジュニア&ユースギア比に関するお願い

 ここ数年、国際競技シーンでも撤廃の憶測が飛んでいた

ジュニア・ユース(U-17&U-15)のギア比問題ですが

継続となっております。なかなか中高生向けの

ギア比をアッセンブルして販売することは現状難しいこととは存じますが

中高生競技者・保護者の皆さんには選手の発育を妨げないためにも

周知のほど宜しくお願い申し上げます。

 

 

 ジュニアギア比について

  ジュニア&高校自転車(U-19):7.93m
  U-17:7.01m
  U-15:6.10m
  U-13:5.66m

 

(クリックすると大きくなります)

 

 

 


 

◇良くある機材の反則について

 検車をしていて違反の一番多いものが

サドルの先端部とBB中心の位置が挙げられます。

規定ではBBの中心からサドル先端は5㎝後方でなければなりません

ただし、競技者の体格(特に小さい選手)には、このケースが

当てはまらないことがあります。その場合はその旨を

バイク検査員に当該選手は申告しなければなりません

JCF規則集第5章より

 

 


 

◇新たな競技「サイクリングe-スポーツ」規則

 今回の講習会では触れませんでしたが、自転車競技における新たなジャンルである

バーチャルレース「サイクリングe-スポーツ規則」が発表されています。

特に販売店の皆様には是非ご覧いただければと思います。

UCIサイクリング e-スポーツ規則集 (PDF/JCF日本語訳)

 


 

◇トランスジェンダーアスリートに関する参加資格について

 講習会では触れませんでしたが、この先の未来のスポーツ全体の重要な問題でもあり

UCIが自転車界の見解を示していますのでご覧ください。

UCI規則集第13部医療規則 第5章トランスジェンダーアスリートに関する参加規則(PDF/JCF日本語訳)

 

 


 

◇ドーピングに関する情報の共有

 自転車界の歴史において、ドーピングは非常に重要な問題です。

特にこれからの若者に対しての啓蒙と意識の共有をお願い致します。

 

 


 

◇サイクリング・フォー・オールの徹底

 昨今、競争・非競争を含め長野県内では様々な自転車イベントが増えて来ました。

そこで改めて、サイクリングイベント・レースに参加される方々へ

UCIが提唱する「サイクリング・フォー・オール」の精神の徹底をお願い致します。

 

 

参加者は常に関連する道路交通法規を順守しなければならない.

・参加者は適切なスポーツ精神を実践しなければならない.

・参加者は環境を尊重する態度で振る舞わなければならない.

 

JCF規則集 第16章 サイクリング・フォー・オールより

 

また最低限のルールとして、どのイベントに出場する際も

自転車の整備は選手の義務であること

の徹底をお願い致します。

 

 

 

 

試験に合格された皆様へ

 

 

 

 審判試験に合格された皆様、改めまして合格おめでとうございます。

皆さんは、来年の1月よりJCF公認の自転車審判員として正式に登録されます。

 

今後は新年になってから、各主催者・長野県自転車競技連盟を通じて 

審判のオファーが届くと思います。 通常であれば4月末に開催される 

飯山菜の花ロードが長野県における自転車競技の開幕になります。

 

依然としてコロナの影響が先行き不透明ではありますが

来年も長野県では、様々な大会の開催が予定されています。 

 

審判講習会でもご説明いたしましたが、自転車審判というのは 

単にジャッジ(判定)を行うだけでなく、レースの運営 

コースや会場の設営・設定、観客の皆さんへの安全管理など

その職務は非常に多岐に渡ります。

 

是非ぜひ、皆様の御力添えを賜りますようお願い申し上げます。

 

そして願わくば、来る2028年の長野国体と 

その先の長野県自転車界の未来に向けて

ご尽力を賜りますよう重ねてお願いを申し上げます。

 

ご不明なことがございましたら

連盟審判委員会までお気軽にお問合せ下さい。

 

 

 

 

という訳で遅くなりました

今年の審判講習会のレポートでした。

今年はこの5年間で最多となる

15名の皆さんが審判員講習を受講し

晴れて審判員試験に合格となりました。

長野県は他県に比べて

自転車の大会が多く審判の質も高く 

東京五輪でも沢山の審判員が活躍しました。 

自転車の審判員は、2028年ながの国体に向けて 

その先の長野県自転車界の未来を築きあげる

うえでも非常に重要な鍵となってきます。

願わくば、今後も長野県自転車界を

支える数多くの方々が増えて行くように

携わるものがより良い環境づくりを

行えればと思います。

 

参加して下さった皆様、ご協力頂きました

関係者の皆様には改めまして

心より御礼を申し上げます。

 

関連LINK

UCI

日本アンチドーピング機構

日本自転車競技連盟

長野県自転車競技連盟